【しつもんメンタルトレーニング】藤代さんインタビュー(2)

「ヤキュイク」「サカイク」でもおなじみの「しつもんメンタルトレーニング」代表の藤代圭一さん。現在の少年野球の指導者の皆さん、親御さんたちに向けて、大人としてのあり方、子どもたちとの接し方、子どもへの「しつもん」の仕方など、たくさんお話を伺いました。

2017.07.18

子どもたちを取り巻く野球環境、指導の現場

野球はお父さんコーチというチームも多いと思うのですが、今のお父さんコーチたちが読むのはきっと技術指導書だと思うんですね。でも、そうではなくて、「技術指導以外にも出来ることはあるのではないか?」いうのは一番僕が伝えたい部分ではありますね。僕自身がそうだったので。


指導者が全てを知っている必要はないと思っています。現代は、ネットで検索すれば欲しい答えを見つけられる時代です。子どもに何か聞かれたとしても、「コーチも知らないから、一緒に勉強してみようよ」とか、「今日はすごいコーチ呼んできたからその人に教えてもらおうよ」とか、そういうスタンスの方が自然と子どもたちと関われるんじゃないかなとも感じています。


教える側も「全てを知っていなくてはいけない」と思わなくていいんじゃないでしょうか。情報の多い時代、チームに所属する選手によって指導法も変わってくると思うんですね。だからこそ、何が正解かわからない中では、子どもたちと一緒に「僕たちの答え」を見つけていくのが大事なのではないかなと感じます。


そのチームの方針や状況を聞かないと何とも言えない部分はあるというのは大前提なのですが、僕たち大人は、子どものやる気を引き出したいわけですよね。そして成長してほしい。また、その成長を糧に、試合に勝ってほしいとも思っているわけです。でも、実は僕たち大人はま逆のことをやってしまっていることが多いのです。


彼らのやる気を奪うような「なんでその場面で三振するんだよ」とか、「なんで簡単なゴロも取れないんだよ」とか。三振してしまった本人や、ボールを捕球できなかったことは、本人が一番それをよくわかっています。でも、そこに大人からさらに釘を刺されてしまう。それは、子どもはかなり堪えますよね。なので、ミスを指摘するときは気をつけた方がいいと思います。やる気を引き出したいのであれば、その奥にある考えや思いに焦点を向けたいところです。


どんなプレーをしたにしても、子どもは何かしら考えていたはずです。考えた上での三振だったとしたら、「どんなことを考えていたの?」とまず聞いてあげること。何も考えずに三振だったのであれば、叱るのもありかもしれません。でも、実は「カーブを待っていて、待ってて来なかったから慌ててバットを振っちゃいました」という答えが返ってきたら、「じゃあ、次はどうしたら良いと思う?」と聞けば、本人の中で「振り返り」が生まれます。そこから自分で考えて行動しはじめます。


見逃し三振したら、監督さんもきっと「イラ」っとすると思うんです。でもそこで「なんのためにバット持ってんだよ!」なんて怒鳴られたら、子どもは「すいません」としか言えないですよね。それは、コミュニケーションとは言えないかもしれません。でもそこで「最後、何(球種)待ってたの?」と聞かれたら、「真っ直ぐを待ってました」と答えられる。そこから「なんで僕は真っ直ぐを待っていたんだろう?次はどうしたら良いだろう?」と自問自答しはじめる。


だけど、「バカヤロー!」と怒鳴ったりしたら、「次、怒鳴られないためにはどうしよう?」という思考になりますよね。「見逃し三振はまた怒られるから、とりあえずバット振っとこう。見逃し三振さえしないようにしよう」という考えになるわけです。そしてその場を繕うようなプレーしかせず、チャレンジもできないないようになっていってしまうんですよね。


野球も、ミスがたくさんあります。ミスから学ぶことは沢山あります。仕事でも人生でも、ミスから学ぶことってたくさんありますから。野球も「ミスが起こりやすいスポーツ」であるということを大人は理解して、ミスするのが前提だと、良いところに目が向けることができます。


きっと、指導者の方も、保護者の方も、それは十分わかっていると思うんです。頭ではわかっているんだけど、ついつい…という方が多いんじゃないでしょうか。


今後、日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能になると言われている時代の中で、今後10年後、20年後、どれだけの仕事が残っているのかと考えた時、今の子どもたちは、この時代に存在している仕事の中から選んでいくわけではなくなります。そして、僕たちが知りもしない時代を、今の子ども達は生きていかなくてはいけません。その中で、僕たちが今、僕たちの常識の範囲内で教えている以上、彼らは僕たち以上にはならないわけです。知っている範囲は全て教えても、僕(と同じくらい)にしかなれない。それ以上を飛び越えるというか、僕ら以上の人になってもらうためには、自ら考える力が必要です。


子どもたちの方が素晴らしいアイデアを持っていることは、挙げればきりがありません。それが僕らの想像を遥かに飛び越えていて、とまどいが生まれることはもちろんあるんですけれど、それを僕たち大人が追い続けないと。でも、僕たちがやったことがないから、そのアイデアを実行するのは怖いじゃないですか。僕たち大人は、一般的な考え方にとらわれてしまう傾向があり、突拍子もないアイデアというのは想像しづらい傾向にあります。現実的というか常識的というか。でも、その大人の常識で子どもを決めつけてしまっては子どもたちの可能性の芽を摘んでしまうと感じています。(撮影:編集部、取材:浅野有香)


次回は「子どものやる気を引き出す『未来質問』とは?」についてをお送ります。

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