【しつもんメンタルトレーニング】藤代さんインタビュー(4)

「ヤキュイク」「サカイク」でもおなじみの「しつもんメンタルトレーニング」代表の藤代圭一さん。現在の少年野球の指導者の皆さん、親御さんたちに向けて、大人としてのあり方、子どもたちとの接し方、子どもへの「しつもん」の仕方など、たくさんお話を伺いました。

2017.08.02

親御さん、指導者のみなさん、そして子どもたちへ

親御さんも、最初は「子どもたちのために何が出来るのか?」と出来る限りのサポートをしようと、最初はとても楽しく、結果に関わらず、子どもの成長を見ることが楽しみだったと思います。でも、同じことを繰り返しているうちに、だんだん満たされない気持ちになってくることがある。


心が満たされない状態になってくると、ついつい子どもたちに言いたくなってきてしまうものなんです。何を言うかというと、

「こんなにしてあげてるのに!」と。

朝ご飯もつくって、洗濯もして、送り迎えもしている。
なのに、「なんで!?」と言いたくなる気持ちももちろん理解できます。
けれど、子どもからすると「いやいや、お願いしてないよ」ということもよくあるのです。


なぜ、「こんなにしてあげてるのに?」という言葉が出てくるかというと、僕たち大人の心が満たされていないからです。別の言い方をすると「心の余裕がなくなったとき」にこうした言葉が出てきてしまいがちです。


では、どうしたら良いかというと、僕たち大人も心を満たす時間をつくることです。美味しいランチを食べに行くことかもしれないですし、1人の時間をつくることかもしれません。気を使わなくていい友人とお喋りすることかもしれません。まずは自分の心の状態を知り、それを認識して、心を満たす行動をしながら子どもたちに関わっていくということがとても重要です。


お母さん自身が、もっと自分の時間を作っても良いですし、自分自身が楽しんでいる姿を子どもに見せることによって、「ぼくもお母さんみたいな大人になりたいな」と思う子ども達が増えてくると思うんです。僕たち大人がいつもしかめっ面で、キツそうにしていると、子どもたちは「大人になりたくない」という意識になるんですよね。だから、もっともっと僕たち大人も人生を楽しんだ方が良いと思います。


「こんなに犠牲にして(子どものことを)やってやってるんだぞ」と、言いたくなる気持ちももちろんわかりますし、それはとても尊い行動であると思うんです。ですが、それは誰がやりたくてやっていることなのか。自分がやりたくてやっていることだったら、人に求めないはずなんですよね。でも、求めるようになってしまってきていたら、ご自身の心が満たされなくなってきているサインかもしれません。


ですので、1日5分でも10分でも「自分を満たす時間」を作って、その満たされたエネルギーを向けていくというのが重要かなと思います。満たされないと、お互いを批判し合うことになってしまいかねないですから。
まずは自分を満たして、そのエネルギーを循環させていきましょうということ。


そして、「主役は誰だろう?」と僕たちは大人は自分自身に問いかけたいと思っています。野球をすることにおいて、「主役は誰だろう?」ということを考えただけで、物事の見方がシンプルになります。

主役は僕たちじゃなくて、選手(子ども)です。

もちろん指導者も保護者もチームの一員ではあるけれども、プレーをするのは選手たち。それを理解すれば、関わり方って変わってくると思うんです。


ついつい、僕たち大人が主役になってしまうことはよくあって、でもそれは彼ら(子どもたち)のスポーツじゃなくて、僕たち大人のスポーツになってしまっている証拠です。そうなると彼らの「やりたい」ではなく、僕ら大人の「やらせたい」になってしまう。そうなると子どもたちのやる気は下がりやすいと常に感じます。


僕が活動する上でも、「この主役は誰だろう?」という問いかけは、とても大事にしています。講師をしていてもそうですが、100人の受講者を前にすると「僕が主役だ」と勘違いしやすいんですよね。でも、あくまでも主役は受講者の皆さん。その人たちの学びの場になるはずなのに、その学びを無視して僕が自分勝手に進行してしまうと、受講者の皆さんの満足度は下がります。来てくださっている方々の学びをよりよくするには、どうしたらいいか?主役はだれか?を考えた方がいいと思います。


スポーツにおいても、やっぱりどうしても勝ちたくなる。ここぞという場面において、ピンポイントでアドバイスをすれば勝つことも可能だと思います。けれど、果たして成功する(勝つ)ことだけが、子どもたちにとって得られるものなのか?というのは僕たち大人が考えたい問いです。


子どもたちが自分たちで考えて、「こうやってやってみよう」と行動したとします。けれど、僕たち大人は彼らよりも経験がある分、「もっとこうした方が勝てるんじゃないか」とアドバイスをしてしまいがちです。けれど、そうしたアドバイスは彼らの学びの機会を奪ってしまっているかもしれません。ジュニアの年代では、失敗できるチャンスがたくさんあります。そういった体験して学ぶ機会をたくさん作ってあげたいですね。子どもたちが、子どもの頃に失敗できる機会は、決して奪わないようにしてあげたいなと強く感じます。


そして何においても、子どもたちが「やりたい」と思う機会を作らないといけないですよね。もしかすると、それが「体験」からくるものかもしれません。


例えば、松井秀喜さん(元読売ジャイアンツ、ニューヨークヤンキース他)に直接会える機会があり、「僕もあんな選手になりたい」と思えば、子どもたちは勝手にバットを振りはじめます。こうした体験を用意することは、親子としてもっと出来ることがあるのではと思います。

いろんなキッカケを作りながらも、期待を手放して、信じることができるか。

「これは、いつかこの子にとって役に立つ」と思って、彼らを信じることができれば、その気持ちは必ず子どもたちに届きますし、「あの時、信じて育ててくれたから今があるんだ」と、子どもたちは大きくなってから思ってくれるはずです。
そして子どもたちには、まずは「自分で決めたことを達成していくと楽しいよ」という感覚を味わってほしいですね。


大きすぎる目標は小さくした方がいい。行動を生むときは、小さく小さくして考えること。あとは僕たち大人も一緒にやるのも重要ですね。
例えば、素振りを100回やると言っているとしたら、その素振りの10分間の間で、お父さんは本を読もうといった関わり方です。お父さんが本を読んでいるのに、素振りをやらない時も出てくるかもしれません。けれど、自分が素振りをやっていないのは、子ども自身でもわかってるんです。なので、そういう時は「少し目標変えてみる?」など聞いてみるといいですね。


すると、子ども自身の中で「自分で100回やるって言ったのにやってない」という葛藤が生まれる。そうすると、彼らの中で「やっぱりやりたい」という気持ちが生まれたり、「このままだと続かないから、もう少し目標を小さくしよう」と正直に話してくれるかもしれません。


僕たち大人は、子どもが一度決めたことに対して、全責任を取らせようとする感覚が強すぎるかもしれません。決めたことを曲げさせないというか。決めた目標に対して、振り返ることはとても大事です。
けれど、何より、子どもたちは「お父さんお母さんに認めて欲しい」と思っているということです。お父さんお母さんには、決してそれを忘れてほしくないなと思います。


大丈夫、子どもにかけた愛情はもちろん、彼らを信じた気持ちというのは、彼らに必ず届いていますから。

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