その怪我、冷やすべき?温めるべき?(温熱編)

急にケガをしてしまったときは氷などを使って患部を冷やすようにしますが、ジワジワと痛む慢性のスポーツ障害については、患部を温めることで状態が改善するケースがあります。

2017.11.30
炎症症状はケガをしてからおよそ48〜72時間程度(2〜3日)続きますが、その間に細胞レベルではケガをした部位の修復が進められており、炎症症状が改善した段階で「冷やす」ことから「温める」ことに切り替えるようになります。

およその目安としては、患部に熱感がなく、腫れや内出血の程度がおさまってきていること、運動をしていない状態では痛みがないことなどが挙げられますが、あくまでも参考程度にとどめ、医師とよく相談の上、指示を仰ぐようにしましょう。

患部を冷却するアイシング自体は「ケガを早く回復させる」というよりも「これ以上悪くならないようにとどめる」ことがメインですので、ある期間が過ぎたところで血流をよくするために患部を温め、組織の再生を促すようにします。

患部を温める方法としては物理的に外から温める方法(入浴、蒸しタオル、温熱作用をもつ物理療法など)とウォームアップなどで体の中から温める方法があります。特にケガをした部位はしばらく動かしていない状態が続いていたため、動きにくさを改善するためによくストレッチを行ったり、全体でのウォームアップとは別に時間をとって身体を温め、体温や筋温を上げるように心がけましょう。

ウォームアップなどで温まってくると痛みが軽減される場合は、患部を温めることでよりケガからの回復が早まることが期待できます。首の寝違えなどは肩や首周辺部の筋肉が緊張することによって起こることが多いため、蒸しタオルなどで温めるようにすると動きやすさが改善することもあります。

また一般的な腰痛(筋筋膜性腰痛)は太ももや体幹部分の筋肉が硬くなってしまい、動きが制限されて痛くなることも多いため、十分に身体を温めてストレッチをすることが大切です(※ただし、こうした寝違えや腰痛などの原因は個人差がありますので、医師の指示の元に行ってください)。

また投球後のケアについては痛みがあれば「冷やす」痛みがなく動きにくさを感じるようであれば肩周辺部や肘周りのエクササイズなどを行って血流をよくする等を実践していきましょう。こちらについても個人差がありますので、「痛み」を一つの指標として判断するとよいでしょう。自宅で温める場合は入浴などももちろんですが、濡らしたタオルをしぼって、電子レンジで1分〜2分程度温めると簡単に蒸しタオルができますので、これを患部にあててお手軽ホットパックなどを行うこともできますね。

「冷やす」と「温める」の使い分けを知り、ぜひ競技復帰に役立ててください。

著者プロフィール

アスレティックトレーナーの西村典子さん
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
東海大学スポーツ教育センター所属、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナー。日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS, NSCA-CPT。学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。


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