ニュース 2018.01.09. 09:34

中学硬式野球のトップレベルを知っておこう!「タイガースカップ」レポート

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中学硬式野球のトップレベルを知っておこう!


全国的な知名度は高くないものの、関西ではおなじみの大会。スタンドには多くの高校野球関係者も訪れることで知られている。今年のドラフト候補である東妻勇介投手(和歌山興紀ボーイズ→智辯和歌山→日本体育大)は2010年の同大会で2本のホームランを放つ活躍を見せており、同学年で同じくドラフト候補の釘宮光希投手(オール枚方ボーイズ→日大三→立正大)は2009年、2010年大会の連覇に大きく貢献し、二年連続で最優秀選手賞にも輝いている。

まず優勝した兵庫伊丹ヤングだが、さすがに好選手が多かった。長距離打者の素材として面白いのが主砲の原大空選手(2年・4番・三塁手・180cm/73kg・右/右)。高校生の中に入っても見劣りしない体つきの大型三塁手だ。少し重心は低いもののバットを高く上げる構えは迫力十分。リストワークが良く、少しつまりながらも右手でしっかり押し込んで放ったセンターオーバーの当たりは見事だった。


打撃技術の高さではトップバッターの湯水海(2年・1番・左翼手・167㎝・62㎏・右投左打)も目立った。体はそれほど大きくないものの、小さい動きで安定したトップの形を作ることができており、慎重にステップして鋭く振り出せるスイングは見事。この日は2試合で1安打に終わったものの、打つ形の良さだけであれば最も安定しているように見えた。

投手では真鍋颯(2年・投手・178cm/63lg・右/右)の素材の良さが光った。まだまだ細身だがすらりとした投手らしい体形がまず目につく。後ろが小さく前が大きい腕の振りで、ヒジの使い方に柔らかさがあるのも投手としては大きな長所。スピードは120キロ前後(この日の最速は123キロ)だったが、ボールの角度がありコントロールも安定している。準決勝では3回を投げて2安打無失点、決勝でも最終回に一打同点のピンチにリリーフで登板してピシャリと試合を締めて見せた。最優秀選手に輝いたが、それにふさわしいピッチングだったと言えるだろう。


惜しくも準優勝に終わった北摂リトルシニアではリードオフマンの落合克己(2年・1番・二塁手・171cm/59kg・右/左)が走攻守にわたる活躍を見せた。リラックスした構えでバットコントロールが良く、広角に打ち分けて2試合で6安打をマーク。また脚力も見事で一塁到達タイムはセカンドへの内野安打で4.09秒、バントでは3.90秒と高校生でも上位に入るスピードを見せた。セカンドの守備も球際に強く、ヒット性の打球を度々好捕。少しミートの巧さに頼ったスイングに力強さが出てくれば高校でも早くから活躍できる可能性は高いだろう。


毎年多くの好選手を輩出している神戸中央リトルシニアも好素材が多かった。田中隼人(2年・1番・遊撃手・168cm/57kg・右/右)は難しいバウンドでもとにかくボールをこぼさないしぶとさが光るショート。グラブさばき、スナップスローは中学生のレベルではない。バットコントロールの良い打撃も魅力だ。

4番の藤田翔太(2年・4番・外野手兼一塁手・168cm/72kg・右/左)は左の強打者。この日はノーヒットに終わったものの振り出しの鋭いスイングでヘッドスピードは申し分なく、凡打でも素質の高さは十分に感じられるバッティングだった。

先発した山本空知(2年・8番・投手・177cm/67kg・右/右)は西口文也(元西武)に似たフォームの右腕。ステップの幅が狭くスピードもまだまだだが(この日の最速は116㎞)、ブレーキのある大きなカーブが光った。体の成長とともに速くなりそうな雰囲気は十分だ。



この日参加した選手たちは中学1年生と2年生の新チーム。つまり高校に入学するまでにまだ1年以上あるが、中には高校生顔負けのプレーを選手も少なくなかった。12月下旬には小学生を対象にした「NPB12球団ジュニアトーナメント」も行われているが、プロ球団が主催する小中学生のイベントが増えていることは喜ばしいことである。野球の底辺拡大のためにも、このような大会が更に広がりを見せていくことを期待したい。(取材・撮影:西尾典文)



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