少年野球の現場にタバコは必要?受動喫煙から子どもを守ろう

成人がタバコを吸うことは違法ではないものの、健康面を考えるとタバコは「百害あって一利なし」。
タバコの害悪が以前よりも啓蒙され分煙化も進む現在、身体が資本のスポーツの現場に喫煙がそぐわない時代になったと言えると思います。

2018.02.15

少年野球の現場にタバコは必要?大人たちに求められる子ども達への配慮

喫煙は、アスリートにとっては心肺機能の低下といった直接的な原因のみならず、血流が悪くなってしまうので疲労回復に時間がかかってしまったり、ケガをした部位がなかなか良くならない、風邪をひいたら治りにくい、といったこともみられます。

大人である監督、コーチががこういったリスクを承知の上で喫煙する分には自己責任と言えますが、より深刻なのはタバコを吸う年代ではない子どもたちが知らず知らずのうちに、大人たちが吸っているタバコの害を被ってしまう受動喫煙です。

受動喫煙とは自分の意思とは関係なく他人が吸ったタバコの煙を吸い込んでしまうこと。タバコには直接体内に入る主流煙と、火のついた先から立ち上る副流煙という2種類の煙があります。副流煙には主流煙に比べてニコチンが約2.8倍、タールが約3.4倍、一酸化炭素が約4.7倍も含まれているといわれ、実際にタバコを吸う人よりもより大きな健康被害をもたらすことが懸念されます。

つまり、自己責任で喫煙している大人、野球の現場では監督やコーチに対して「タバコを吸わないでください」と言えない立場の弱い子どもたちの体の方が、大人よりも多くの健康被害を受けているのです。

野球の現場で少年少女を指導する立場の大人は、こうした受動喫煙の問題を認識し、こうした影響下に子どもたちをさらさないようにしていくことが大切です。

野球の現場に限らず、自宅などでも受動喫煙の問題を認識する必要があります。換気扇の下や屋外のベランダで窓を閉めた状態でタバコを吸って家族に配慮しているお父さんもいると思いますが、タバコの煙は窓のすき間から室内に侵入し、子どもの体にも影響を及ぼします。

タバコを吸っている大人のいる家庭では、タバコを吸わない家庭に比べて受動喫煙の危険が3倍以上になるともいわれており、カーテンやソファー、衣類などについた有害物質はタバコ臭をもたらし、ここから「三次喫煙(サードハンドスモーク)」という概念とそのリスクも指摘されています。こうなると子どもの受動喫煙を防ぐためには「タバコを吸う大人に近寄らない」ことが何よりの予防となってしまうのです。

タバコを吸う人の「他人の生活環境への配慮」と、タバコを吸わない人の「副流煙を吸わない環境とその権利」を今一度見直し、スポーツ現場に喫煙習慣はそぐわないということを改めて考えてもらいたいと思います。

著者プロフィール

アスレティックトレーナーの西村典子さん
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。


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