【上一色中】強打の秘訣はどこにある?バッティング練習に迫る

中学軟式野球の人口減少が深刻だ。2007年に約30.5万人いた中学軟式野球の人口が2016年には18.5万人と40%近くも減少してる。そんな中で、毎年のように「硬式クラブと悩んだすえに・・・」と、子ども達に選ばれる中学の軟式野球部がある。江戸川区立上一色中学だ。全国中学校軟式野球大会 2015年3位、2016年準優勝、東日本軟式野球選手権大会優勝、東京都大会優勝11回、準優勝5回、関東中学校軟式野球大会優勝などの実績を誇る同中学野球部を率いる、西尾弘幸先生にお話を伺った。

2018.03.05

7か所のフリーバッティングで打撃強化


「次は、絶対に打ってみろよ!」
「任せろ!」
「オッケー、ナイスバッティン!」

7箇所で行うフリーバッティングの最中、投手と打者の間で気合いを入れあう声が飛びかっていた。スイングのあとには、「よっしゃ!」と大きな声で叫ぶ打者。「打ったら絶叫」がチームの約束事になっている。 
「ようやく、自分たちから声が出るようになってきました。いつも言っているのは、『明るい雰囲気を作らないと勝てない』。前向きに取り組むようになっています」
 
東京・江戸川区立上一色中学校――。
2006年に西尾弘幸監督が就任してから、めきめきと実力をつけ、2015年に全中ベスト4、翌2016年には全中準優勝。高校野球で活躍する選手も多く、専大松戸、日大三、関東一、札幌第一などで甲子園の土を踏んだ。

学校は学年3クラスの中規模校。江戸川区は「学校選択制」を取り入れていて、「上一色中で野球をやりたい!」と電車やバスで通学する選手が多い。2年生は19名いるが、もともとの学区に住む選手はひとりだけだ。

西尾監督の信念は「高校野球で通じる選手を育てる」「打ち勝つチームを作る」だ。平日はおよそ2時間半の練習があるが、はじめの30分をアップとキャッチボール、残り2時間をバッティングにあてる。
「平日はボールを打つだけで300球、土日は600球打っています。やっぱり、バットを振って、数多くのボールを打たなければ、打てるようにはなりません」

取材当日は7カ所のフリーバッティングと、2か所のロングティーが行われていた。フリーバッティングは体育館(ネットで囲まれていて、防球対策はばっちり)に向かって打つ独特のスタイルだ。グラウンドは練習試合ができない狭さのため、このやり方でしかフリーバッティングができないのだ。

バッティング練習中、打席を待つ選手はバットでタイヤを叩いたり、2メートルの長い棒でスイングしたりと、ボーッと待っている選手が誰もいない。

練習で意識するのは、「ストライクを強く振る」ということ。以前、江戸川区大会でのファーストストライクスイング率を調べてみたところ、驚異の7割7分。とにかく積極的に振る。この試合はスタンドインが2本飛び出した。「待ち」の野球では、高校に行ったときに通用しない。

「3年前に竹バットを取り入れてから、振る力もミート力もついてきました。それによって、高校で活躍する卒業生が増えています」

竹バットは900グラム、800グラム、の2種類があり、体の力に応じて使い分けている。12月から2月はティーバッティングでもフリーバッティングでも、竹バットだけを使い、パワーと技術を養っていく。
「軟式の選手を見ていると、『バットの芯でボールをとらえる』という技術がなかなか身に付かないように思います。そのまま高校に行くと、バッティングで苦労してしまう。芯のエリアが狭い竹バットで練習することで、芯でとらえる感覚を養っています」
目指すは中学軟式日本一

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