「球が速い」vs「制球が良い」

2018.04.03
【1】「球は速いが制球が悪い投手」
【2】「制球は良いが球が遅い投手」

さて投手としての将来性はどちらが高いでしょう?

「球が速い」はとても魅力的に見えるので、「制球さえよくなれば・・・」と目論んで期待してしまいます。
しかし「【1】の制球が改善する確率」と「【2】の球威が改善する確率」では後者の方が高いと感じています。
それはプロ野球を観ていても感じます。
剛腕を見込まれてプロ入りした投手が結局制球の課題が改善せずに球界を去るケースがどれだけ多いことか・・・。

では「なぜ制球の課題は解決しにくいのか?」「どうすれば制球力を高めることができるのか?」今日はそのことについて考察したいと思います。

私は制球力を決める要素は2つあると思います。

(A)動作再現性

基本的に「1球もストライクを投げられない投手はいない」という前提で考えると、「ストライクを投げる動作を再現できるかどうか?」で制球力は決まります。
オリックスバファローズの金子千尋投手は「同じ動作をすれば同じところにボールが行く」とインタビューで語っています。
アウトコースに投げるための投げ方を修得し、修得した投げ方を確実に再現できれば同じところにボールが行くので、動作再現性が求められます。
逆に言えば制球に問題がある投手は「ストライクを投げる投げ方を再現するのが苦手」とも言えると思います。

(B)微調整能力

投手を取り巻くコンディションは常に一定ではありません。
例えばマウンドの高さは野球規則で定められているものの実際には球場によって傾斜の角度が微妙に違います。
ボールも特に硬式球は試合中の摩耗により抵抗が変わったり、ボールのメーカーによって縫い目の高さが違って変化球の曲がり方に微妙な差が出ます。
天候や湿度によって「ボールが馴染む日」「ボールが滑る日」などもあります。
日毎、状況毎に変わるコンディションに対して微調整を行い、環境に適応することも求められます。

A)は基礎技術能力、(B)は神経系の発達度合いが大きく影響しているように思います。基礎技術はできるだけ早い時期に修得した方が良いですし、「スキャモンの発育曲線」によると神経系の発達が最も著しいのは小学生の時です。

小学生の時に制球を重視して基礎技術と神経の発達を促すことを怠り「球が速いんだから細かいことは気にせずどんどん投げ込め!」なんて指導すると、最も制球力が発達する時期を逃してしまうことになると思います。

逆に投球の基礎技術が高ければ、体格の成長と筋力の発達により球速は自然に増します
私は身長が170cmを超えて、体躯を上手く使った投球動作を用い、適切な筋力トレニングを行えば140km/hくらいまではかなり高い確率で投げられるようになると思います。

故に小学生の時は制球の改善を目的とした指導が望ましいと思います。


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著者プロフィール

著者:廣川寿(ひろかわひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


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