【吉川美南ボーイズ】「焦らず、甘やかさず」時代にコミットした指導法を

千葉ロッテマリーンズ時代には日本一も経験するなど、強打の捕手として活躍した橋本将さん。そんな元プロ野球選手が監督を務める吉川美南ボーイズは、創立してまだ日が浅いが、チーム理念を徹底し、子どもたちの将来を見据えた指導を行っている。

2018.05.18
――1995年に千葉ロッテに入団し、独立リーグで引退されるまで約18年間活躍されました。現役時代にご自身が将来ボーイズリーグの指導者になることは想像されていましたか?
いやいや、まったくですね。子どもたちに野球を教えるとは思ってもいませんでした。最初はコーチとしてチームのお手伝いをしていましたが、昨年から監督業をバトンタッチされ、受け継いだ形です。

――子どもたちには気さくに話しかけ、チーム全員がノビノビと野球をしているように見えます。
そうですか? それは良かったです(笑)。僕の(宇和島東)高校時代は上甲(正典)監督(当時)が強烈でしたからね(笑)。でも、時代は変わりましたから。プロを含め厳しい環境を経験したからこそ、子どもたちには野球を楽しんで欲しいと思っています。でも、その中で「メリハリ」は大事にしているつもりです。中学生といってもまだまだ子どもですから、気を抜いてベラベラ喋ってしまうことが多々あります。他人の話を聞かない習慣がついてしまってはこの先苦労するのは彼らですから。だから、怒るときはちゃんと怒りますよ。



――最近の子どもは怒られることに慣れていない子が多いと指導の現場でよく耳にします。指導をする面で難しいと思うことはありますか?
確かに怒られることに慣れていない子が多いですね。僕は元々四国出身なので言葉遣いには余計気を遣います。裕福な時代になり、親御さんも子どもを若干甘やかして育ててしまっている点もあると思いますが、一般常識を含め、僕らのチームでは指導する際に理詰めで追求するようにはしていますね。

――しっかり子どもに理解をしてもらうよう、怒られている理由を説明してあげるということでしょうか?
そうです。大人が自己満足で怒っても子どもは委縮する一方です。怒られるのが嫌になり、野球を辞めるという選択だけはして欲しくないですからね。例えばひたすら「声を出せ!」と怒る方がいますが、野球において声を出す意味を子どもに理解させることを省いてはいけません。プレー中にチームメイトとぶつかってしまい、ケガをする恐れがあるから声を出す必要があるわけです。

――「なぜ怒られているのか?」の本質がわからないままでは、またいつか同じ行動を繰り返してしまいますね。
大げさに言えば“野球界の体質を見直す時期”に差し掛かっているのかもしれません。
少し話はズレますが、僕が特に気になっているのは「喫煙」。野球界は喫煙率が異常に高い。これは、プロとかアマチュア、指導者や保護者など関係する全てにおいてです。子どもの成長に害を与えてしまうにも関わらず、目の前で平気で吸っている姿は、僕からしたらあり得ないですね。「吸うな!」 とは言いませんが、マナーの面をちゃんと考えて欲しいですね。

――野球人口の減少が問題となっている中で、より良い方向に野球界が変わっていって欲しいですね。
だからといって身体が出来上がっていないうちから無理にやらせる必要もありません。僕だって小学4年生から始めてプロに行けたわけですから。水泳や、サッカーなどを経験することも大事だと思いますよ。色々なスポーツを経験できる時代だからこそ、焦らず、甘やかさず、大人が子どもたちを見守ってあげて欲しいですね。



名門高校での甲子園出場やプロでの日本一など、自らの成功体験を子どもに押しつけようとせず、「時代にコミットした指導が必要」と語る橋本監督。吉川美南ボーイズからプロ野球選手が誕生する日も、そう遠くないかもしれません。(取材・撮影:児島由亮)



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