【少年野球トレーニング】「うんてい」で野球に不可欠な受動握力を遊びながら鍛えよう!

2018.06.14
野球には物を強く握る能動握力とともに、握った物を離さない受動握力が必要です。

受動握力とはなかなか聞き慣れない言葉ですが、自分の意志によって物を握る「能動的な」動作ではなく、握った物を別の外力などの「受動的な」力によって離してしまうことに抵抗するものであり、投手であればピッチングのコントロールだけではなく、変化球の精度においてもその能力が求められます。

また打者であればバッティングのときに、ボールがバットに当たる瞬間の力に対してバットを自分の思うようにコントロールすることであり、バッティング技術の向上にも大きく関与します。


こうした受動握力はどのように鍛えていけばよいでしょうか。

握った物を離さないという動作では鉄の棒にぶら下がって離さない懸垂や、ロープを引いて上に登っていく綱上り、運動会の時に行うことの多い綱引きなども受動握力の強化といえるでしょう。

また最近注目されているのが学校の校庭などで見かける「うんてい」です。

皆さんも一度はやったことがあると思いますが、「うんてい」は両手で握って身体を保持するだけではなく、左右の手を交互に入れ替えながら前後に進むものであり、両手での受動握力だけではなく、片手での受動握力の強化にも役立ちます。

「うんてい」はこの他にも呼吸機能の改善や、バランス能力の向上、またビジョントレーニングの一つである目と手の協調性を高めることにも大きく貢献します。

何かにつかまってぶら下がる姿勢は自然と胸郭をひろげることに役立ち、横隔膜を大きく動かして呼吸することはより多くの酸素を取り入れて、脳や身体全体に行き渡らせることになります。

脳に十分に酸素が供給されるということは思考力にも大きな影響を与えると考えられます。

バランス能力については身体を片手で支えることによる体勢の変化を察知して、それを修正する能力を養いますし、目と手の協調性については手で横棒をつかんで前へと進むとき、目は目的とする横棒に焦点を合わせて奥行きを認識し、目からの情報を正しく判断して動作に移行する能力を高めます。

このように「うんてい」は握力強化のみならず、さまざまな体力要素、動作を鍛えることにつながります。

「うんてい」のある家庭は少ないかもしれませんが、学校の校庭や公園などで「うんてい」を見かけたら、ぜひ遊びながらトレーニングをしてみてはいかがでしょうか。

「うんてい」には握った物を離さない受動握力を鍛えるほかにも、さまざまなトレーニング効果が期待できます


著者プロフィール

アスレティックトレーナーの西村典子さん
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。


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