【前橋中央硬式野球倶楽部】「勝つこと」を主目的にせず、10年先を見据えて取り組む(後編)

野球人口の減少に苦労するチームが多い中、100人以上の部員が在籍している前橋中央硬式野球倶楽部。身体の大きさによるチーム分け、徹底したメディカルチェックなど他のチームにはない様々な取り組みを行っている。前編ではチームの方針について触れたが、後編では具体的な練習内容について紹介する。

2018.08.06
新しいことはどんどん取り入れると話す春原太一理事長の言葉通り、様々な取り組みを行っている前橋中央硬式野球倶楽部。現在は選手達の自主性を尊重したやり方を実践しているという。
「今年は上級生が山梨の都留高校の練習を見学させてもらって、選手主導でやり方を決めるボトムアップ型の取り組みを学んできました。今の練習は選手達が金曜日にミーティングをして土日のメニューを決めるという流れにしています。『中学生だから』そんなことは無理だろうという固定観念が多いと思うんですが、やってみると意外にできるんですよ。

まず自分たちでやりたいと考えてやる練習だからそれだけ一生懸命取り組みます。やっぱりバッティング練習が多くなりますけど(笑)。あとは終わりの時間だけ決めておけば、それまでにやりたいことをやろうということで自然と行動も早くなります。お昼ご飯も早く食べますからね。ちなみにバッティング練習は低反発の金属バットを使っています。木製だとどうしても折れてしまうので、考えた結果アメリカのものを参考に知り合いの方を通じて中国で作ってもらうようにしました。バットの力で打てるようになるのではなく、しっかりしたポイントで打つために取り入れています」



ちなみにこの日はアップが終わった後、2、3年生はバッテリーはピッチング、それ以外はバッティングがメインで行われていたが、それに対して指導者から細かい指示などが飛ぶことはなかった。もう一つ面白かったのが1年生が行っていた練習だ。守備などのドリルをやる一方で、外野の後方でポートボールを行っていたのだ。また、この日は行っていなかったが、アメリカンフットボールのランニングキャッチをする日もあるという。これも将来のことを考えた練習内容だという。





「アメリカはシーズンスポーツ制をとっているので、野球をやる時期は1年でも限られているんですよね。野球、バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケーがいわゆる四大スポーツですけど、野球は道具を使って打つもので、バスケットとアメリカンフットボールはゴールスポーツ、アイスホッケーはその両方の要素がある。そしてどのスポーツもお互いに生きるようにできているそうなんですよ。距離とか空間を認識する能力は確かにどのスポーツにも重要ですよね。そういう経験はなるべく子どものうちにやっておいた方がいい。ゴールがないのでバスケットはできませんが、ポートボールやアメリカンフットボールを使ってやるようにしています」



選手の将来にとってプラスになる練習方法を提示しながら、それを選手達が選んで取り入れる。中学生のチームで行っている例はあまり見たことがない取り組みであるが、確かにプラスの面は大きいだろう。また自主性という点では練習以外の部分でも取り組んでいるという。

「チームの大方針として自分のことは自分でやるというルールがあります。だから保護者の方が関わる余地はないんですよね。飲み物が必要なら自分たちで準備しますし、試合のアナウンスが必要ならお金を出してチームが頼みます。みんな自転車などで通っていますが、自力で練習場に来ることさえできればうちは保護者の方にやっていただくことはありません。今は地元の中学の軟式野球部の方が親の負担が大変だからといってうちのチームに来ている子もいます。そういう点も部員が多い要因だと思いますね」
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