ニュース 2018.08.21. 13:32

【2018ジャイアンツカップ】将来性の光った選手

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優勝した大淀ボーイズでは4番を打つ山下来球(3年・外野手・左投左打)のバッティングが光った。体つきはそれほど目立つわけではないが、トップの形の安定した構えで鋭い振り出しが光った。決勝戦でも外の難しいボールをバットの先だったがレフト前に落とし、貴重な2点目をたたき出して優勝にも大きく貢献した。技術面がしっかりしているだけに体が大きくなれば飛距離もどんどん伸びていくだろう。

準優勝した東練馬リトルシニアではトップバッターの杉本直将毅(3年・外野手・右投左打)のスピードが光った。準々決勝の武蔵府中リトルシニア(東京)戦の第2打席でサード前にセーフティバントを決めたが、その時の一塁到達タイムは3.86秒をマーク。これは高校生でも上位に入るレベルの俊足である。少し当てにいくようなスイングが目立ち、外のボールに強く踏み込めないなどの課題はあるものの、強く振り切れるようになればその俊足が更に生きるようになるはずだ。

東練馬リトルシニア(東京)のトップバッターの杉本直将毅君

東北勢で史上初のベスト4に進出した弘前聖愛リトルシニア(青森)では二人の選手が目についた。一人は大型のトップバッター浅利瑠良(3年・外野手・右投右打)。中学生離れした体つきで打席での雰囲気も申し分なく、一人だけバットが軽く見えるよなスイングの速さは出色。まだ上半身の力で振っている部分が大きいが、しっかり全身を使って振れるようになればその体格が更に生きてくるだろう。もう一人は背番号9ながら準決勝の先発を任せられた福田虎太郎(2年・外野手兼投手・右投右打)だ。ステップの幅はまだ狭いものの、ゆったりとしたモーションで上からスムーズに腕を振ることができており、上背以上にボールの角度を感じる。無駄にかついだりひねったりする動作がなく、ぶれの少ないフォームは大きな長所だ。現時点では120キロ台中盤から後半のスピードも、来年には130キロを超えてくることが期待できるだろう。

準決勝で東練馬リトルシニアと熱戦を繰り広げた桐生ボーイズ(群馬)では武藤闘夢(3年・遊撃手兼投手・右投右打)、新井蓮(3年・三塁手・右投右打)の二人の右打者が光った。武藤は投手も務め、ショートの軽快な守備が光る三拍子揃った選手。内からスムーズに振り出せるバッティングでミート力も高い。新井はパワフルなプルヒッティングが持ち味。タイミングをとる動きも余裕があり、力任せだけではない。サードから見せるスローイングの強さも目立った。

驚くようなスピードを見せる投手は見当たらなかったが、将来性を感じたのは武蔵府中リトルシニア(東京)の大倉啓輔(3年・右投)と東怜央(3年・右投)の二人だ。大倉は悪いクセがなくバランスよく腕が振れ、力まずに速いボールを投げられるのが長所。体の成長とともにどんどん速くなりそうな雰囲気がある。東も全身を使って大きく腕を振ることができており、更にカーブとスライダーをしっかり投げ分けてコントロールできるセンスも光る。ともに高校でしっかり鍛えれば強豪校の主戦として活躍できるだけのポテンシャルを秘めている。

武蔵府中リトルシニア(東京)の大倉啓輔君

総括でも触れたが、技術的な面は中学野球も年々レベルアップしていることは間違いない。ただこの時点ではまだ伸びていなくても、体の成長とともに飛躍するケースが多いこともまた事実である。この経験を糧にして、次のステージで更なる飛躍を遂げる選手が一人でも多く出てくることを期待したい。(取材:撮影・西尾典文)

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