【少年野球質問箱】故障しない「正しい投げ方」ってどんな投げ方?(後編)

全国約7,000人の野球指導者及び保護者から絶大な支持を得ているFacebookページ「少年野球指導者のひとり言」の管理人廣川さんが、お父さんお母さん、指導者の皆さんの少年野球に対する悩みや疑問にお答えします。

2018.09.03

今回の質問・お悩み



「故障しない『正しい投げ方』ってどんな投げ方?」

中学の部活でいわゆるお父さんコーチをしています。日々勉強の毎日です。
昨今、球児たちの投げ込みが問題視されており、私も何となく1日50球くらいにするようにと指導しています。まだまだ未熟なので、打者がバットをたくさん振るようにピッチャーにももっと投げ込みをさせた方がいいのかなと思いますが、やはり肘、肩の故障が怖いです。

しかし、最近読んだ本でプロ野球OBのある名投手がこんなことを言っていました。
「投げ込みの数が問題なのではなく、正しい投げ方ができていないことが問題」

また、ヤキュイクの以前のチーム取材記事の中でも、有名チームの監督さんが「正しい投げ方をしていれば、小学生でも変化球を投げても肘・肩は痛めない」というようなことを言っていたかと思います。

そこで、教えて欲しいのですが、「正しい投げ方」とは具体的にはどんな投げ方なのでしょうか?

お恥ずかしい話ですが、子供たちの投球フォームを見ていても、正しい投げ方ができているのかどうなのか良くわかりません。肘・肩を壊さないための正しい投げ方のポイントなどを教えてください。


廣川さんの答え

まずは『足の動き』に注目しましょう!

人間の筋力は筋肉の断面積に比例すると言われます。筋肉の断面積が一番広いのは「大腿部」です。
つまり「足の力」を効率的に使えれば、上半身の負担を軽減させてボールを投げることが可能になることを意味します。そして体の動きは様々な部位の動きの因果関係によって成り立っています。

足の動きやその角度は腰の動きに影響を及ぼします。腰の動きに制約が加われば、肩の動きに制約を及ぼします。肩の動きは肘の可動に制約を及ぼします。つまり足のつま先の角度が肘の故障の原因になることだってあるのです。

だから私はグラウンドで「足、足、足!」を繰り返し選手に伝えています。

基本形は『つま先の開き90°』を造る

※ここから先は右投げを前提とした記述となります。

下半身を使った投球をする際に重要なことは「骨盤が自由に動くこと」です。そして最も骨盤の動きに自由度を持たせることができるのはつま先を45°ずつ外に開いた状態だと言われます。つまり、軸足である右足と踏み出した左足のつま先が90°開いた状態を造ると最も骨盤が動きやすくなり、投球の際に推進力となります。


(図1)


(図2)

最近の子供は足を踏み出したときに左足のつま先が内側を向いてしまうことが多いです。これは左足に体重移動した時に三塁側に体重が寄ってしまい、ボールがシュート回転しやすくなったり、無理やり体重移動させると膝を痛めたりします。

つま先がしっかりと捕手の方向を向いてこそ、左足への効率的かつ効果的な体重移動が可能になります。


(図3)

上半身は『脱力』がポイントです!

よく投手に向かって「腕を振れ!」というアドバイスをする方がいらっしゃいますが、私は投手には上半身を脱力して投げて欲しいので「腕を振れ!」というアドバイスはしません。

(1)足から伝わる力の慣性を使って投げること
(2)遠心力を感じながら投げること

この2つを特に重視しています。
前述の下半身の体重移動が上手くなれば下半身に大きな推進力が産まれ、それが上半身に「慣性」として伝わります。また遠心力を感じることでリリース時に肘が下がることを抑制します。


(図4)

ただし、小学生の場合は肩の筋力が未発達のため、強い遠心力がかかる全力投球は控えたほうが良いと思います。フォームに問題のある子は肘を痛めやすく、フォームが良くて腕が振れ過ぎる子は肩を痛めやすい傾向があります。

最後に

「投手は下半身が大事だ!」と説き、ランニングなどの下半身強化メニューを課す指導者は多数いらっしゃいます。しかし鍛えれば勝手に球が速くなるというものでもありません。『鍛えた下半身を有効に使える技術』がなければ鍛えること自体が無意味になってしまいます。そのためにも足の使い方はポジションに関係なく身に着けて欲しい技術だと思います。

下半身が細く上半身が大きい選手は投球動作のバランスを崩しやすいために、制球に課題があったり、故障するリスクも高いと思います。

「技術も体力も下半身から造る」をお勧めします。




*「ご用件」に「少年野球質問箱」と書いて、廣川さんに教えて欲しい悩みや疑問をお送りください。


「廣川さん」プロフィール

廣川寿(ひろかわ ひさし)1969年生まれ。愛媛県出身。全国約7,000人の野球指導者及び保護者から絶大な支持を得ているFacebookページ「少年野球指導者のひとり言」管理人。

【球歴】
えひめ西(現松山)、リトルリーグ、愛媛県立松山北高等学校、甲南大学(阪神大学野球連盟)、リクルート(社会人野球東京支部)

【受賞歴】
■リトルリーグ
-四国大会優勝

■高校野球
-愛媛県中予地区新人戦優勝
-秋季愛媛県大会準優勝(四国大会出場)
-第59回選抜高等学校野球大会出場

■大学野球
-阪神大学野球連盟2部リーグ最優秀投手賞
(→1部昇格)
-阪神大学野球連盟特別賞(3度)
 ・1試合最多奪三振記録樹立(18個/当時)
 ・通算最多奪三振記録樹立(351個/当時)
 ・通算最多登板記録樹立(57試合/当時)
-学生日本代表候補選手選出 など

【野球指導歴】
-学童野球コーチ
-中学硬式野球チームコーチ・監督
-その他高校・社会人野球臨時コーチなど多数。


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