【相陽中】「中学軟式王国」を引っ張る指揮官のバッティング指導(後編)

常に全国大会を狙えるチームを作り上げている内藤博洋監督に伺ったバッティング指導。今回は「全てのボールを打ちに行くフリーバッティング」の意図や「ホームベースを2枚並べる工夫」について伺った。

2018.10.31

すべてのボールを打ちにいくフリーバッティング

素振りのあとに行われたのはフリーバッティング。といっても、外野ではほかの部活動も練習しているため、フルスイングはできない。ミート中心にバットの芯でとらえることを意識する。

見ていて気付いたのは、すべての球を打っていたことだ。ストライクはもちろん、ボール球もすべて打つ。高めのボール球に対して、バットをうまくかぶせて打つなど、器用に対応していた。
「すべてのボールを打ちにいくなかで、バットが届かないところは打たない。この意識を植え付けたいからです」

ファーストストライクからバットを振れない選手は、高校に入ってからもなかなかバットが出てこない傾向にある。だから、中学生のうちから少々のボール球でも打ちにいく習慣をつける。

このフリーバッティングが終わったのが16時半過ぎ。残り時間はあとわずか。「残り28分!」と内藤監督が叫ぶと、すぐに「ここ急ぐよ!」と選手から声が挙がった。

練習時間が限られていることもあり、メニューとメニューの切り替えが早い。準備をするにしても、少人数でやっていては効率が悪い。気付いたものが指示を出して、周りの選手を動かす場面が何度もあった。練習時間が短いからこその学びの場ともいえる。

今度は、ランナーをつけてのシートバッティング。グラウンドに、保護者お手製の移動式マウンドが登場した。これがあれば、どこでも実戦の環境に近い、ピッチングをすることができる。

ホームベースを2枚並べる工夫

シートバッティングで驚いたのが、グラウンドの作りだ。正規のダイヤモンドが取れないため、一二塁間に一塁ベース、三遊間に二塁ベースを置き、見たことのない光景が広がっていた。

「右バッターも左バッターも、フェアゾーンはセンター方向だけ。そこに打ち込むための練習になります」

キャッチャーの前には2枚のホームベースが並べて置かれていたが(1枚は正規の位置、もう1枚を外側に置く)、これにも大きな意味があるという。

「ベースを並べることで、目標を作りやすくなります。たとえば、右バッターの外のボールゾーンに投げるときは、2枚目のホームベースを狙って投げる。ギリギリを狙うなら、ベースとベースの間を狙いにいきます」


ボールゾーンには目標物がないので、何となく漠然となりがちだ。それを補うために、ホームベースを並べている。

シートバッティングのあとは、全員でグラウンド整備、腕立て伏せをして、急いで着替え。最後は、内藤監督のミーティングで練習終了となった。

「大事なことは2つ。チームのために自分から動くということ。もう1つは、『今日はこれをやってうまくなるんだ、成長するんだ』という意識を持って練習をすること。『あれもこれも』と考えなくていいから、ひとつのことに集中しよう」

目標は全国大会出場、そして日本一。ひとつひとつのメニューに対する意識を高め、限られた時間を最大限に生かすことが、目標の達成につながっていく。(取材・写真:大利実)

内藤先生の「バッティング指導」前編はこちら


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