選手の「癖」は成功体験の裏返し

Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」でおなじみの廣川寿さんが少年野球指導の現場で思ったこと、考えさせられたことなどを紹介するコラム。今回は「選手の癖」について。

2018.11.28
このブログを運営しているお陰で様々な出会いがあります。先日もブログをご覧頂いている方の息子さんが体験練習に参加して頂いたり、メールで技術的談義を持ちかけて頂く方、動画を送付頂いて技術指導を依頼頂く方など、本当にたくさんの方と接点を持たせて頂いています。ありがたいです。私も勉強になることがたくさんあるからです。

先日はある方と「癖」について議論させて頂きました。
ご本人にも承諾を頂いたので、今日はそのことを書きたいと思います。

その方は「指導していてもなかなか癖が直らない。『覚えの悪い選手』はどのように指導すれば良いのでしょうか?」という相談から始まりました。

「癖」は過去における「成功体験の形跡」だと私は考えております。
客観的に見て「良くない」という癖でも、「これで上手く打てた」「これで上手く捕れた」などの成功体験があるから、技術的特徴として残っていると捉えています。つまり単に「ダメだ。●●しなさい。」と言っても選手の心には響かないと思います。
大人でも過去の成功体験を抜け出すことは難しいことです。

例えば難しいバウンドのゴロを「待って捕球する」という癖を持った選手は「待って捕球しても監督コーチに叱られなかった」とか、「待って捕球してから送球しても走者を封殺することができた」などの子どもなりの成功体験を有しています。

そういう選手には「待って捕球することのリスク」「前に突っ込んでも捕球できる確率が高い技術」「リスクを取って挑戦することの大切さ」などを丁寧に教えないと、選手は「過去の成功体験」から抜け出そうとはしてくれません。そして「挑戦」は「挑戦したこと」自体が賞賛されるべきです。「過去の成功体験を捨て、新しい成功体験を築こうとして挑戦している」のですから。挑戦を結果だけで評価すれば、選手は自ずと「成功する確率が高い方法」を選択するのですから、当然ながら挑戦意欲は削がれていくと思います。

打席での積極性が欠ける打者であれば、初球のボール球をフルスイングすることも「挑戦」です。まずは「振ったこと」を評価してあげるべきだと思います。

「振らなきゃ当たらない」んですから。

選手の「癖」を直す時、新しい技術を指導する時、最も必要なのは指導者が選手に対して「一緒に新しい成功体験を創ろう」という気持ちなのではないか?と思います。

Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」
https://www.facebook.com/baseball.knowledge


著者プロフィール

著者:廣川寿(ひろかわひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


「少年野球指導者のひとり言」関連記事

最新の記事