【駿台学園中】全中ベスト4の強豪中学校の練習とは?

2018年夏、広島で行われた「第40回全国中学校軟式野球大会」でベスト4に勝ち進んだ駿台学園中。東京都北区にある私立中学で、今夏を含めて春の全日本少年に2度、夏の全中に3度出場している。中体連の都大会では春夏秋合わせて11度の優勝を記録し、夏も秋も3連覇中と、圧倒的な強さを誇る。この秋のドラフト会議では、卒業生の清水昇(帝京高~國學院大)がヤクルトから1位指名を受けて、駿台学園中から初のプロ野球選手も誕生した。

U‐15侍ジャパンでは、2015年に山本將太(東海大甲府3年)、2017年には山田将義(二松学舎大付1年)が代表入り。山田はこの夏、1年生ながら正捕手を務め、甲子園の土を踏んだ。
野球部を率いるのは、2010年から指揮を執る西村晴樹監督。江戸川区立小松川第三中から二松学舎大付、日本体育大と進み、大学卒業後はアメリカのサマーリーグでプレーした経験を持つ。

小松川第三中時代は、中学野球の名将・西尾弘幸監督(現・江戸川区立上一色中)の指導を受けた。奇しくも、現在の東京は駿台学園中と上一色中の2強時代が続いていて、今年の全中では両校がベスト4入り。東京勢2校が4強に進むのは史上初のことだった。都大会では、毎年のように熱い師弟対決が繰り広げられている。

そして、西村監督をサポートするのが、北区立稲付中学校、修徳高出身の勝谷大コーチである。稲付中、修徳中のコーチを務め、近藤健介(修徳中~横浜高~日本ハム)らの指導に携わったあと、駿台学園中に赴任した。細かな技術指導は、勝谷コーチが見ることが多い。
どのような指導で強さを作っているのか。11月上旬、放課後の練習を訪ねた。

2018.12.05

テンポを重視した練習

練習場所は、浅草駅から徒歩10分の場所にある台東区のリバーサイドスポーツセンター。東京スカイツリーがよく見える、いかにも下町らしい立地である。

自前のグラウンドを持っていないため、週2日ほどは学校外に出て、練習をしている。行きも帰りも、西村監督が運転するマイクロバスで移動する。

「学校では柔道場などの狭いスペースでしか練習できないので、そのときはドリルを中心にした形作り、グラウンドを使えるときは実戦練習と、練習の目的をわけています」

この日は、小学6年生を対象にした体験練習会が行われていた。NPBジュニアトーナメントの代表に選ばれた選手もいて、さすがにレベルが高い。現在の駿台学園中では3年生の加藤光太郎、川村士音がジャイアンツジュニア、フォークナー騰馬がヤクルトジュニア、1年生の永田一心がヤクルトジュニア、林謙吾がジャイアンツジュニアの出身である。

練習は球場外でのアップのあと、ノックからスタート。6年生も混ざっての参加となったが、ノックを打つペースが速射砲のごとく、とにかく速い。6年生はこのペースに着いていくのが、まずは大変でボーッとしていたら、打球に対する準備が遅れてしまう。

指導するうえで、西村監督が大事にしている要素のひとつに「テンポ」がある。ピッチャーの1球ごとの投球間隔は6秒、攻守交代は60秒、三者凡退で終わるイニングは2分30秒というように、時間の目安をもうけている。

テンポには「緩急」があるものだが、新チームのうちは徹底的に「速いスピード」を意識させる。短い時間のなかで、どれだけの準備をして、プレーの優先順位を決められるか。頭の思考スピードを速くしなければ、次のプレーに着いていくことができない。だから、ノックの1球1球の間合いも短い。

技術的には、捕球体勢の低さが目立った。軟球はボールが高く弾みやすいため、腰高になる内野手が多いが、駿台学園中は低い。



そもそも、西村監督が打つノックが「低く速い」ということもある。この日のグラウンドは人工芝、さらに従来のB号よりも弾みにくいといわれるM号を使っていることも、低く速いゴロにつながっているだろう。

そばでノックを見ていた勝谷コーチが、守備の指導法について教えてくれた。
「地面を這う、一番低いゴロを基準にして、捕球練習をしています。下を基準にすれば、そこから上がったボールは、グラブを上げればいい。中途半端な高さを基準にしてしまうと、下も上も考えなければいけなくなります」

ゴロに対しては、「ボールの下を見るように」とアドバイスを送る。ただ、高いバウンドを同じように見ると、バウンドが合わせにくいことがあるという。

「高いバウンドのときは、ボールの上を見て、ボールが上がるところにグラブをかぶせにいく。このほうが、前にチャージしながら捕ることができます」

軟球をさばくには、必須の技術と言えるかもしれない。
伝統の「5分間ゲーム」

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