さまざまな課題に取り組む…日本野球科学研究会第6回大会(第2日)

日本野球科学研究会という団体がある。野球について科学的に研究する研究者と、指導者、競技者、トレーナーなどが集まって情報交換をしたり、共同研究をしたりする組織だ。「科学」という名前がついているが、研究の範囲は物理学、医学のような自然科学系だけでなく、社会科学の分野まで、幅広い領域に及んでいる。
年に1回、大会を開いているが、その第6回大会が、12月1日、2日、筑波大学つくばキャンパス体育芸術エリアで行われた。
今回の大会実行委員長は、筑波大学体育系で教鞭を執り、同大学硬式野球部監督を務める川村卓准教授だ。

2018.12.10

シンポジウムⅡ「女子野球の躍進とこれから」

12月2日に行われたシンポジウムⅡは、「女子野球の躍進とこれから」と題して、女子野球の現状と未来について、3人のシンポジストが発表した。



コーディネーターは女子野球チーム「新波」代表の石田京子氏。石田氏は、筑波大学大学院でスポーツ健康システム・マネジメントを学び修士号を取得。現在は筑波大学大学院野球コーチング論研究室に在籍している。



女子野球の歩み 山田博子BFJ常務理事

最初のシンポジストは、一般財団法人全日本野球協会(BFJ)の山田博子常務理事。山田氏は2016年にBFJ初の女性理事となり、翌年には女性として初めて世界野球ソフトボール連盟(WBSC)理事に選出された。
山田氏は、女子野球が100年以上の歴史を持つことを紹介した。女子プロ野球は1948年に発足し、一時は人気となったが中断。以後も苦難の道をたどりながら発展してきた。
そんな中で、高校の指導者の普及活動、女子ワールドカップの開幕、女子プロ野球リーグの発足などをきっかけに、競技者数が2016年の1.5万人から2018年には2万人を超えたことを報告。男子の競技者数が減少している中、女子野球は今、大きな注目を集めている。
山田氏は今後の課題として、人材育成、普及活動、競技力向上と医学、国際交流、国際貢献、マーケティングを挙げた。
そして「繋ごう、野球少女たちの笑顔、100年先も、そしてその先も」と締めくくった。

本当の意味で世界一になるには 侍ジャパン女子代表 橘田恵監督



2人目は、侍ジャパン女子代表監督の橘田恵氏。侍ジャパン女子代表は、今季のワールドカップで6連覇を果たした。しかし強いだけでは「世界一」とは言えない。
橘田氏はチーム目標を、
「国を代表して日の丸を背負って『世界と戦う』ことに誇りと責任を持ち、選手はもちろん、コーチ、スタッフ、チームにかかわる全員が結束して、ワールドカップ6連覇を勝ち取る。そして、ただ勝つだけでなく、日本が世界の女子野球の模範となってリーダーシップを取れるよう努めたい」と紹介した。
また、女子野球は、男子とは異なる文化、人間関係を持っている。男子では、絶対的な権限を有する指導者が上意下達で指示を行うが、女子は選手個々が納得しなければ指導者の指示に従わない傾向がある。このことを強調した。
橘田氏は、6連覇を果たした日本が、今後目指すべきこととして下記の3点を指摘した。

1.日本代表としての実力と立ち居振る舞い(国際マナー)
2.正しい野球(ベースボール)の普及と見本になるプレー
3.女子野球普及のための国際貢献、外国人選手の招聘、指導者の派遣

さらに「勝利するだけでは世界のリーダーとは認められないだろう」と強調。国内の女子野球発展に向けては、「とにかく、身近なファンを増やすこと」が大事だと訴えた。



なでしこジャパンの事例 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース小林美由紀マネージャー

3人目はジェフユナイテッド市原・千葉レディースマネージャー、日本サッカー協会女子委員、NPO法人ジュース(JWS:スポーツにかかわる女性を支援する会)理事の小林美由紀氏だ。
小林氏は、かつてマイナースポーツだった女子サッカーが「なでしこジャパン」という愛称を得て、スター選手を輩出する人気スポーツへと成長するまでの過程を紹介した。
小林氏は、代表チームの強化、ユース育成、指導者養成を「三位一体」とし、これに「普及」を加えた4本柱で、今後も女子サッカーの発展を目指すとした。

男子の競技人口が減る中で、女子の競技人口は急増している。男子と女子の指導法や、コミュニケーションの違いなどは「野球離れ」対策に、大いに役立つと思われた。
また、ここまで理解を得られない中で女子野球の普及ために尽力してきた、指導者の功績も評価すべきだろう。

続いて二つのイベントが並行して行われた。
MLB投手の調整法を具体的に紹介 吉井理人氏、井脇毅氏

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