【大阪桐蔭】中川卓也|「あの悔しさ」を忘れずに登りつめた頂点

2018.12.18

相手をリスペクトした上で試合をすることがフェアプレー



大阪桐蔭の姿勢でとても気になったのは「冷静さ」だ。北大阪大会の準決勝・履正社戦では1点ビハインドの9回表の攻撃で、二死走者なしになってもベンチには取り乱した様子は一切なかった。反対に激戦を制した直後でも過度な感情表現はほとんど見せない。周囲に惑わされない気持ちのコントロールが出来ていたのも強さの一因だった。

「試合は相手があってこそですし、相手をリスペクトした上で試合をすることがフェアプレーだと思っています。相手に失礼のないうえで戦うことは常に心掛けています。普段の練習試合でも西谷先生からそのあたりはよく言われます」。

感情の起伏が激しい高校生。言われて簡単に出来ることではないが、その姿勢をしっかり理解し、チーム全体で徹底できていたのだから結果にも結びつくのだとうなずける。

中川は以前、西谷監督のことを“24時間野球のことばかりを考えてくれている先生”と話していた。選手1人1人に向き合い、野球だけでなく人間の話も数えきれないほど聞いてきた。

「センバツ後、打撃の調子を落として全然打てない時期があったんですけれど、それでも途中交代することもなく試合で自分を使っていただいたんです。理由は“お前が作ってきたチームだから”と。普段から厳しいことを言ったり、色んなやり方でチームを引っ張ってきたつもりでしたが、やってきて良かったと思いました」。
恩師の思いに心から感謝した。

これから高校野球を目指し、どれだけ厳しい環境でも野球を最後までやり通すにはどんな覚悟が必要なのか。
「野球を好きであり続けることですかね。小学校で野球を楽しくできても中学校で厳しい練習が徐々に増えるとは思うんです。高校ではまた違うしんどさもあります。それでも“何で野球をしているんだ”って悩むようなことにはならないで欲しいんです。野球を続けているのは、野球が好きだからだと思うので。前向きな気持ちでやらないと野球もうまくならないんです。そういう野球に対する気持ちをずっと忘れないで欲しいなと思います」。

来春から早稲田大学への進学が決まっている。高校野球で偉業を達成するまでの歩みは決して穏やかではなかったが、中川も野球が好きでしょうがない。現在も、そしてこれからも。(取材・写真:沢井史)


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