「野球=頭が良くなるスポーツ」にしたい

Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」でおなじみの廣川寿さんが少年野球指導の現場で思ったこと、考えさせられたことなどを紹介するコラム。今回は「成果にこだわる」について。

2019.02.06
野球は競技ルール、技術理論などがとても合理的な競技です。
ルールと技術、戦術に精通するには合理的に思考することが重要です。

しかし世間から見た野球のイメージは「気合、根性」。
私はこれがとても残念に思います。

具体的にどう合理的なのか? 一例ですが挙げてみました。

【1】「攻撃」「守備」それぞれの権利が明確

野球はコンタクトスポーツではないので、そもそも敵味方の選手が接触するシーンはほとんどありません。仮に接触しても場面ごとに「優先権」が明確にされています。それぞれの権利を明確にすることで攻撃側と守備側が公平になるようにルールが形成されています。ルールに精通する選手は「公平性」についても理解ができるはずです。

【2】戦術には「確率論」が多分に含まれている

MLBではセイバーメトリクスが多用され、日本でも「打率」「防御率」といった統計数値が重用されるなど、野球には多数の確率指標が導入されています。確率を求めるための情報収集のスキルなども磨かれます。技術理論の中にも物理の法則が含まれていたり、理数系の要素が多分に含まれています。

【3】基礎練習では「集中力」「規則性」が養われる

野球の技術においては「再現性」がとても重要です。同じ動作を繰り返すことによって技術の再現性を高めることで確率高く良いプレーができるようになります。再現性を高めるには「集中力」「規則性」が求められます。これらは基礎学習においても必要な要素だと思います。

【4】声を出すには「思考力」が必要

「最近の子は元気がない」と仰る指導者も少なくありません。でも子どもたちを観察していると休憩時間には元気よく喋っていたりします。グラウンドで声が出ないのは元気がないのではなく、「何を言ったらよいか」が分からないのだと思います。現に指導者がベンチから大きな声で事細かく指示するチームほど選手の声は出ない傾向を感じます。グラウンド内を注視しながら「今、仲間にどんな声をかければ効果的か?」といったことを思考することで主体性が身に付きます。

【5】配球や作戦には必ず根拠がある

例えば投手の配球は「決め球を最も効果的に使うため」といった意図があったり、作戦も「ここで実行すれば相手は防御策を講じにくい」など、「実行の根拠」が必ず存在します。元ヤクルトスワローズの古田捕手は現役時代、野村監督に「今の配球の根拠は何だ!」とよく問い質されたそうです。根拠を見出すためには「鋭い洞察力」「合理的な思考」「柔軟な発想」が必要となります。

どうですか? なんか頭良さそうでしょ?

「野球やると頭が良くなる」

「気合、根性」が必要ないとは言いません。しかしそればっかりだと上記のような思考力は身につかないように思います。判を押したような画一的な技術指導」「集中力を欠いた反復練習」「無意味な声出し」などをグラウンドから排除することから頑張りたいと思います。


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著者プロフィール

著者:廣川寿(ひろかわひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


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